中間管理職って、ある時から急に疲れ方が変わりますよね。
忙しいとかじゃないんです。
会議が多いとか、部下の相談が増えたとか、もちろんそれもある。
でも、あの重さって、そういうのと少し違う。
一日が終わったあと、何をしたか思い返すと、
だいたい“間に入って”終わってる。
上から来たものを、そのままだと角が立つから少し丸くして下に渡す。
下から上がってきたものも、
そのままだと嫌がられそうだから少し整えて上に持っていく。
誰かがイラついてる。
誰かが黙ってる。
誰かが納得してない。
その空気を何となく拾って、何となく収めて、また次。
で、夜になると、妙にぐったりする。
ちゃんと働いたはずなのに、
何も前に進めてない感じが残るんですよね。
あれ、地味にきます。
中間管理職って、板挟みだから大変だとよく言われるじゃないですか。
それも間違ってないです。
上は上で数字を見てるし、下は下で感情がある。
どっちも見ないと回らない。
そりゃ楽じゃない。
でも、ほんとうにきついのって、そこだけかなと思うんです。
もっときついのは、自分の言葉が減っていくことじゃないかなと。
上の言ってることも分かる。
下がしんどいのも分かる。
だから、どっちにもそのままは言えなくなる。
少し変える。
少し薄める。
少し飲み込む。
少し笑って流す。
これが増える。
最初はただの配慮です。
角を立てないための工夫。
場を壊さないための大人の動き。
それ自体は悪くない。
悪くないんだけど、そればっかりやってると、
だんだん自分が何を思ってるのかまで薄くなるんですよね。
ほんとは、この方針だと現場はきついと思ってる。
でも、そのまま言うと“反対してる人”みたいになる。
ほんとは、部下のあの言い方も甘いと思ってる。
でも、そこを強く言うと今度は冷たく見える。
で、どっちにも少しずつ合わせていく。
そのうち、自分の中に残るのが“正解っぽい言い方”ばかりになる。
これ、かなりしんどいです。
中間管理職の人と話してると、たまにあるんですよね。
「で、あなたはどう思ってるんですか」って聞いたときに、少し止まる感じ。
上としてはこうで。
現場としてはこうで。
会社としてはこうで。
そこまではすぐ出る。
でも、“自分は”になると少し間が空く。
あれ、悪いことじゃないんです。
むしろ真面目にやってる人ほどそうなる。
ちゃんと両方見てきた証拠でもあるから。
ただ、その状態が長く続くと危ない。
自分の言葉がなくなると、人って、急に疲れるんですよね。
仕事量じゃなくて。
人間関係の多さじゃなくて。
自分が何者なのか、少し分からなくなる感じで疲れる。
それに、中間管理職って、
誰からも“分かってもらいにくい”立場でもあるんですよ。
上から見れば、もっと現場を引っ張ってほしい。
下から見れば、結局会社側の人。
どっちにも少しずつそう見られる。
もちろん、そこに悪意はない。
でも、言われる側は削れます。
部下の前では、なるべく顔に出さない。
上の前では、現場の空気を持ち込みすぎない。
そのうち、どこで息を抜けばいいのか分からなくなる。
で、こういう人ほど、ちゃんとしてるんですよね。
逃げない。
投げない。
雑にしない。
部下のことも見てるし、上司の意図も分かろうとする。
だから余計に苦しくなる。
いい加減な人のほうが、案外壊れにくいんです。
聞き流せるから。
切り分けられるから。
でも、ちゃんと背負う人は、毎回少しずつ自分の中に入れてしまう。
気づいたら、言葉より先にため息が出るようになる。
たぶん、中間管理職に必要なのって、調整力だけじゃないんですよね。
もちろん調整はいる。
でも、それだけだと持たない。
必要なのは、自分はどう見るかを失わないことだと思うんです。
上がこう言ってる。
下はこう感じてる。
その上で、自分はどこがズレてると思うのか。
何は守りたくて、何は変えたほうがいいと思ってるのか。
そこがある人は、苦しくてもまだ立てる。
逆に、そこがなくなると、ただの緩衝材になる。
上の圧を吸って、下の不満を吸って、きれいにして返すだけの存在。
そりゃ消耗しますよ。
しかも怖いのは、
そういう人ほど周りからは“うまくやってる人”に見えたりすることです。
揉めない。
空気を壊さない。
ちゃんと回してる。
でも内側では、先に声が消えていく。
これ、社長側も見たほうがいいんですよね。
社長が強い会社ほど、
中間管理職が“社長の通訳”みたいになりやすい。
社長の言ってることを、
そのままだと現場に刺さりすぎるから少し柔らかくして渡す。
現場の空気を、
そのままだと社長が面倒くさがるから少し薄めて上げる。
それを繰り返してるうちに、その人自身の視点が消える。
でも、本当はそこが一番大事なんです。
真ん中にいる人が、自分の目で見て、自分の言葉で話せること。
そこがある会社は、しぶとい。
逆にそこがなくなると、上も下もつながってるようで、
ただ流れてるだけになる。
中間管理職って、器用な人がやる役職みたいに見えるんですけど、
ほんとはかなり“芯”がいる仕事なんだと思います。
誰にも媚びず、でも誰も雑にしない。
それって、きれいに言うほど簡単じゃない。
ときどき、「自分が間に入らなきゃ」で何とかしてる人ほど、
一回立ち止まったほうがいいです。
その場を収めることに慣れすぎて、
自分の本音まで毎回一緒に片づけてないか。
そこは見たほうがいい。
真ん中にいる人が先に黙り始めたら、
組織ってじわじわ弱くなるんですよね。
表面は回る。
でも、本当に痛いところが上がってこなくなるから。
最近あなたがいちばんしんどかったのは、仕事の量でしたか。
それとも、本当は言いたいことを何回も飲み込んでいたことでしたか?
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。