先日、ある経営者がこんなことを話していました。
「最近、些細なことでイライラすることが増えた」と。
感情が昂ると判断力が鈍り、その結果、大事な場面で取り返しのつかない決断をしてしまう。
経営者の皆さんにも経験があるかもしれません。
経営者の感情というのは、組織全体にダイレクトに影響します。
経営者が不安になれば、社員も不安になる。
経営者が焦れば、組織も迷走します。
特に、不確実性の高い時代では、経営者が感情をどう管理するかが、
会社の命運を分けるほど重要になるのです。
では、感情的になってしまう原因は何か。
売上が思ったより上がらない。
社員が思うように動かない。
予測通りに行かない現実への苛立ちや焦りから感情が乱れるのは自然なことです。
しかし、その感情に支配されてしまうと、冷静な判断が難しくなります。
現状への怒りや焦りに流されて、「本当に必要なこと」を見落としてしまうからです。
孫子の兵法にも「将たるものは、怒りを以て師を興すべからず」とあります。
つまり、感情的な判断は決して勝利をもたらさないという教えです。
逆に言えば、冷静な判断力こそが最大の武器になるということです。
理想の経営者は、感情を消すのではなく「感情に飲まれない」ということです。
つまり、「感情を管理する力」を身につけることが重要なのです。
では、どうすれば感情を管理できるのか。
一つの方法は、「もうひとりの自分」を持つことです。
感情に支配されそうになった時、その自分が横で「冷静に」と
囁いてくれるような存在を持つ。
とはいえ、もう一人の自分を持つことは簡単ではありません。
そこで、最近私が意識しているのは、自分の中に「AI役員」という
もうひとりの存在を置くということです。
AI役員というのは、人間のように感情に流されることなく、
絶対的に理性的な判断を示してくれるもう一人の自分です。
システムや何か複雑なものを導入するという話ではありません。
感情が揺れそうな時、心の中にいるAI役員に「この状況をどう見る?」と問いかける。
すると、自分では気づけなかった冷静な視点を自然と取り戻せるようになるのです。
たとえば、売上が落ちた時、自分の感情は焦りでいっぱいになってしまいますが、
心の中のAI役員は静かに「なぜ落ちたのか、その理由を客観的に見よう」と諭してくれます。
こういう感覚を持つことで、感情的な反応ではなく、自然と冷静な対応ができるようになっていくのです。
もちろん、AIと聞いて抵抗を感じる人もいるでしょう。
でもこれは、時代の変化を受け入れることでもあります。
感情が揺れやすい時代だからこそ、AIのように冷静な視点を自分自身の内側に持つことは、
むしろ自然な進化と言えるのではないでしょうか。
実際に、ある経営者がこう話していました。
「AI役員を意識するようになってから、無駄に感情的になることがなくなった。
今までいかに自分が感情に振り回されていたか気づいた」と。
彼はこれまで部下に怒鳴ったり、些細なことでイライラしていましたが、
最近では穏やかで冷静な対応が自然とできるようになり、
その影響で社員たちのパフォーマンスも目に見えて向上したそうです。
なぜこのような変化が起きるのでしょうか?
それは、感情を管理できる経営者が「組織の心理的安全性」を高めるからです。
経営者が冷静であるほど、社員は自由に意見を出せる環境になります。
その結果、会社は強くなり、不確実性が高い時代でも、社員が積極的に変化に対応できる組織になるのです。
感情をコントロールできる人は、自分の人生だけでなく、周りの人の人生も豊かにします。
逆に感情に流される人は、気づかないうちに自分も周囲も傷つけてしまう。
だからこそ、感情管理の能力を養うことは、経営者にとって避けて通れない重要なテーマなのです。
今の時代は、予測不可能が常態化しています。
だからこそ、あなたが経営者としてやるべきことは、常に冷静であること。
感情の波に飲まれそうになったら、自分の中にいる絶対理性のもう一人の自分に耳を傾けてみてください。
感情を制する者が、時代を制する。
自分を見失ったときこそ、内なる声に耳を澄ませ。
感情を飼いならし、理性を目覚めさせよ。
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。