上司って、不思議なくらい分かれますよね。
何かあった時、先に顔が浮かぶ人と、できれば最後まで言いたくない人。
同じ「上司」なのに、こっちの喉の開き方が全然違う。
相談しやすい上司は、優しい人とは限りません。
むしろ、厳しい人も多い。
基準も高いし、甘い話は通らない。
それでも言いに行ける。
一方で、報告したくない上司は、怒鳴る人とも限らないんですよね。
表向きは穏やか。話し方も丁寧。
なのに、足が重い。
言う前から、少し胃が固くなる。
この違い、何だと思いますか。
能力の差じゃないです。
人柄の良し悪しだけでもない。
もっとはっきりしていて、
相手が「何を守っている人か」が伝わるかどうかです。
相談しやすい上司は、正しさより先に、前に進めることを守っています。
部下の話が少し拙くても、途中で遮って自分の正解を置くより、
「で、何が起きてる?」と見ようとする。
都合の悪い報告が上がってきても、最初に犯人探しをしない。
まず被害を広げないこと、次に何を打つか。そこに頭が行く。
部下はそこを見ています。
この人は、私の失敗を使って自分の正しさを証明したい人なのか。
それとも、この状況を一緒に前に進める人なのか。
見ています。かなり正確に。
報告したくない上司は、ここが逆なんですよね。
本人に悪気はないことが多いです。
でも、部下からすると、報告した瞬間に「何でそうなったの?」が飛んでくる。
「普通わかるよね」
「前も言ったよね」
「で、誰の判断?」
言っていることは間違っていない。
ほんとうに間違っていないんです。
ただ、その正しさが先に来ると、人は次から隠すようになります。
怒られるからじゃない。
面倒だからです。
自分の失敗そのものより、失敗した自分をさばかれる感じがしんどいからです。
ここ、かなり大きいんですよね。
部下って、ミスをした時に上司の器を見ます。
自分が困っている時、何を先に見られるのか。
事実なのか。責任なのか。感情なのか。体裁なのか。
そこに、その上司の本性が出る。
たとえば営業の現場で、数字が落ちたとします。
相談しやすい上司は、「どこで止まった?」と聞く。
見込み客か、提案か、クロージングか。
要するに、原因を一緒に見に行く。
報告したくない上司は、「何で落とした?」から入る。
責任の所在を先に確定したい。
同じような質問に見えて、部下の心の動きは全然違います。
前者の前では、人はまだ話せるんです。
自分の未熟さも、抜けも、怖さも。
後者の前では、まず守りに入る。
言い訳じゃなく、防御です。
全部を出すと不利になると分かっているから、情報を薄くする。
すると上司はまた言うんですよね。
「何で後出しなんだ」って。
そりゃ後出しになります。
最初から全部出しても、
自分が不利になるだけだと感じている場所なんですから。
経営でも同じです。
社長に悪い話が上がらなくなる会社ってありますよね。
あれ、現場が怠けているだけじゃないです。
悪い報告を持っていった時の空気が、もう決まっているんです。
顔が曇る。
空気が止まる。
「で、どう責任取るの?」が先に来る。
そうなると、現場は“問題をなくす”んじゃなくて、
“問題を上げない”方向に賢くなる。
これ、かなり危ないです。
会社って、問題があることより、問題が上がってこないことのほうが怖い。
でも上は、たいていそこで逆のことをやってしまう。
問題を出しやすくするより、問題を出した人が傷つく空気を作ってしまう。
相談しやすい上司って、甘い人じゃないんです。
ここ、勘違いしやすい。
何でも受け止める人でもない。
ちゃんと厳しい。
ちゃんと詰める。
ただ順番が違う。
まず事実を見る。
次に構造を見る。
そのあとで責任を扱う。
だから部下は、「この人に言えば全部許される」じゃなくて、
「この人に言えば話が前に進む」と感じる。
この差は大きいです。
上司の仕事って、部下をビビらせることじゃない。
部下が悪い報告ほど早く持ってこられる空気を作ることです。
良い話は、放っておいても上がってきます。
問題は、悪い話です。
まずい話です。
言いにくい話です。
そこが早く上がる組織だけが、立て直せる。
相談しやすい上司と、報告したくない上司。
違いは、優しさじゃない。
部下の言葉の奥にあるものを、裁くために聞くのか、
前に進めるために聞くのか。
そこなんですよね。
あなたの職場では、悪い報告ほど早く上がりますか。
それとも、言わないほうが賢い空気になっていませんか。
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。