強みを伸ばそう。
弱みは気にしすぎなくていい。
向いてることをやればいい。
このへんの言葉、たしかに半分は正しいんですよね。
でも、半分だけなんです。
なぜかというと、現場では“強みがあるかどうか”より、
弱みをどこに置いているかのほうが、ずっと差になるからです。
これ、仕事をしているとほんとうによく出ます。
営業が強い人がいる。
人前で話すのも得意。
空気を動かすのもうまい。
でも、細かい詰めが甘い。
数字の整理も苦手。
確認も漏れる。
逆に、管理が得意な人もいる。
抜け漏れがない。
段取りもきれい。
でも、前に出るのは苦手。
強く言い切るのも苦手。
場の熱をつくるのは得意じゃない。
どっちにも強みはある。
でも、ここで苦しくなる人は、
だいたい弱みを真正面から殴りにいくんです。
苦手だから克服しないと。
できないと恥ずかしい。
ここが弱いと評価されない。
だから、人より時間をかけて埋めようとする。
気持ちは分かるんですよね。
穴が見えると埋めたくなる。
まして真面目な人ほどそうです。
弱みを放っておくのは、なんだかサボっているみたいに感じる。
だから向き合う。
でも、ここでずっと消耗している人、かなり多い。
弱みって、全部なくさないといけないものじゃないんです。
ちゃんと置けばいいものもある。
隠さずに置く。
仕組みでカバーする。
人に頼る。
役割で分ける。
順番を変える。
先に認めておく。
そういう置き方がある。
強い人って、意外とそこがうまいんですよね。
何でもできる人じゃない。
苦手がない人でもない。
ここは自分がやる。
ここは任せる。
ここは先に確認を入れる。
ここは一人で抱えない。
この線引きが早い。
だから崩れにくい。
逆に、弱みに真正面から突っ込み続ける人は、
頑張っているのに疲れる。
しかも、頑張り方が報われにくい。
たとえば、人に任せるのが苦手な人が、
無理やり全部一人で抱える。
数字管理が雑な人が、気合いで何とかしようとする。
人とぶつかるのが苦手な人が、
毎回ギリギリまで言えずに後で苦しくなる。
これ、根性で超えようとすると、だいたいどこかでひずみます。
上司と部下でもそうです。
部下の弱みを見ると、つい直したくなる。
ここが甘い。
ここが遅い。
ここが足りない。
だからそこを重点的に鍛えようとする。
もちろん必要なこともあります。
最低限、仕事として外してはいけないところはある。
でも、ずっと弱みだけ見て育てると、
その人の輪郭がだんだん消えるんですよね。
本来は、人によって伸びる入り口が違う。
人前で話すと強くなる人もいれば、準備の精度で信頼を積む人もいる。
場を引っ張るより、支えることで光る人もいる。
なのに、評価の物差しが一つだと、みんな同じ形に寄せられる。
で、苦しくなる。
苦手をなくした人が強いんじゃないんです。
苦手があっても崩れない場所にいる人が強い。
ここ、かなり大きいです。
経営でも似ています。
社長って、何でもできる人に見られがちですよね。
判断が早い。
営業もできる。
人前でも話せる。
数字も見ている。
でも、実際はそんなに全部得意な人ばかりじゃない。
むしろ長く続いている人ほど、自分の弱みを知っていることが多い。
細かい管理は得意じゃない。
感情が先に出やすい。
現場に入りすぎる。
人に厳しく言いにくい。
いろいろある。
でも、その弱みを放置しているわけじゃないんです。
置き方を決めてる。
数字はこの人と見る。
最終判断の前に一回寝かせる。
感情が揺れてる日は即決しない。
現場に入りすぎる時期は、あえて会議数を絞る。
つまり、自分の弱みを“気合いで消す対象”じゃなく、
“設計に入れる前提”として扱っている。
これができる人は強い。
逆に、自分の弱みを認めたくない人ほど危ないです。
何でもできる顔をする。
苦手を見せない。
頼らない。
任せない。
その結果、見えないところで無理が積もる。
組織もそうなんですよね。
会社の弱みを認められない会社って、だいたい変な強がりを始めます。
営業は強いけど、仕組みが弱い。
商品はいいけど、マネジメントが追いついていない。
採用はできるけど、育成が弱い。
ほんとうはみんな薄々分かっている。
でも認めない。
すると何が起きるかというと、弱みの上に期待だけが積まれていく。
かなりきついです。
強みって、見つけることより活かすことのほうが難しい。
そして活かすには、弱みをどこに置くかが避けて通れない。
ここを飛ばすと、話が妙に軽くなるんですよね。
あなたの強みを活かそう。
自分らしく働こう。
いいんですけど、それだけでは現場が回らない。
苦手なものは明日も来るから。
結局、大事なのはバランスというより配置なんだと思います。
人前で話すのが得意なら、そこを前に出す。
でも、詰めが甘いなら最後のチェックは別の仕組みを入れる。
アイデアが強いなら、初速を担う。
でも継続管理が弱いなら、走り続ける役は別で持つ。
感情が豊かな人なら、人の気持ちはよく見える。
でも揺れやすいなら、大事な判断は一呼吸置く。
そうやって置いていく。
それで十分強くなれるんです。
むしろ、全部できる人を目指し始めると、だんだん自分の輪郭が薄くなる。
弱みを隠すのに力を使いすぎて、強みまで鈍る。
それが一番もったいない。
目的がズレると、人は“苦手をなくすこと”に熱中します。
でも本来の目的は、成果を出すことだったり、
信頼を積むことだったり、長く戦えることのはずなんですよね。
そこに戻ると、見方が少し変わります。
弱みがあるのは問題じゃない。
弱みの扱い方が雑なのが問題。
ここです。
強みがある人ほど、自分を盛って見せない。
ここは弱い。
だからこうする。
その割り切りがある。
それって逃げじゃなくて、かなり大人な強さだと思うんです。
最近あなたが無理やり克服しようとしている弱み、それは本当に鍛えるべきものですか。
それとも、置き場所を変えたほうが早いものですか?
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。