同僚にイライラする日ってありますよね。
仕事が遅い。
返事が曖昧。
こっちが気を回しているのに、向こうはそこまで考えていない。
なんでそこに気づかないのか。
なんで今それを言うのか。
なんでこの温度感でいられるのか。
同じ職場にいるのに、見ている景色が違いすぎて、腹の奥がざわつく。
あの感じです。
で、たいてい人はこう考えます。
相手の仕事の仕方が悪い。
相手の能力が低い。
相手の性格に問題がある。
もちろん、そういうこともあります。
ありますけど、それだけで片づけると、ずっと同じところで消耗するんですよね。
同僚にイライラする日の正体って、仕事そのものじゃないことが多いんです。
もっと言うと、仕事を通して、自分の中の「こうあるべき」が刺激されている。
ここなんです。
たとえば、自分は早めに返すのが当たり前だと思っている。
相手は、締切に間に合えばいいと思っている。
自分は、言わなくても汲み取るのが仕事だと思っている。
相手は、必要なことは言葉にすればいいと思っている。
自分は、チームでやるなら先回りが礼儀だと思っている。
相手は、頼まれていないことまで背負わないのが健全だと思っている。
このズレがある時、人は「価値観が違う」と言います。
たしかにそうなんですけど、もう一歩奥を見ると、
イライラしているのは価値観が違うからじゃない。
自分の当たり前が通じないことで、自分の正しさまで軽く扱われた気がするからです。
ここ、かなり大きいです。
人は、仕事だけで怒っているように見えて、
ほんとうは尊重のされ方に反応していることが多い。
雑に返された。
温度を合わせてもらえなかった。
自分が大事にしているものを、相手が大事にしていないように見えた。
それが、腹立たしい。
だから同僚へのイライラって、表面は業務の話でも、中では感情の話なんですよね。
「この人、仕事できないな」ではなく、
「この人と一緒にいると、自分が大事にしている基準が踏まれる」
この感覚のほうが近い。
怖いのはここからです。
イライラが続くと、人は相手を“人物評価”しはじめます。
あの人は雑。
あの人は浅い。
あの人は責任感がない。
そうやってラベルを貼ると、一瞬ラクになります。
もう理解しなくていいからです。
でも、その瞬間から関係は止まります。
相手にも相手の景色がある。
そこを見なくなるからです。
営業と事務でも起きます。
現場と管理でも起きます。
企画と制作でも起きます。
前に出る人と支える人。
数字を追う人と守る人。
立場が違うと、優先順位も、怖がっているものも変わる。
なのに、同じ職場にいると、
つい自分の景色を標準だと思ってしまうんですよね。
たとえば、営業はスピードを大事にする。
一日遅れたら流れる案件もあるからです。
一方で管理側は、確認の甘さを怖がる。
一回のミスが信用を削るからです。
どちらも間違っていない。
ただ、守ろうとしているものが違う。
そこを見ずに「なんでそんなに遅いの」とだけなると、
相手は雑に見える。
逆に「なんでそんなに詰めるの」とだけなると、
相手は配慮がない人に見える。
でも本当は、やり方が違うんじゃない。
守りたいものが違うだけだったりする。
ここが見えると、イライラは少し質が変わります。
相手を許せる、という話じゃないんです。
ただ、感情だけで切らなくなる。
「ああ、この人はこの人で別の責任を背負っているんだな」
そこまで見えるようになる。
職場の人間関係って、相性の問題に見えて、実は翻訳の問題だったりするんですよね。
お互いが悪いんじゃなくて、お互いの景色を翻訳する人がいない。
だから衝突する。
同じ言葉を使っていても、頭の中で見ているものが違うから、話が噛み合わない。
しかもやっかいなのは、イライラしている側も正しいことが多いんです。
ちゃんと考えている。
ちゃんと気を回している。
ちゃんと責任を持っている。
だからこそ腹が立つ。
自分ばかり背負っているように感じる。
自分ばかり気づいているように感じる。
この時、人はすごく孤独になります。
ただ、その孤独の中にずっといると、だんだん関係を見る目が曇ってきます。
相手の一つの行動が、全部の人格に見えてくる。
たまたま遅かっただけなのに、いつも遅い人に見える。
配慮が足りなかった一回が、思いやりのない人に見える。
そうなると、もう会話しても入ってこない。
最初から期待しなくなる。
職場って、この「もういいや」が増えた時から、静かに弱くなっていきます。
じゃあ、どう見ればいいのか。
大事なのは、相手が正しいか間違っているかの前に、
この人は何を守ろうとしてこの動きをしているのかを見ることです。
スピードか。
正確性か。
自分の担当範囲か。
チーム全体か。
評価か。
信用か。
ラクをしたいのかと思っていたら、
失敗を怖がっていただけかもしれない。
冷たいのかと思っていたら、余裕がないだけかもしれない。
やる気がないのかと思っていたら、
役割の境界線を守っているだけかもしれない。
ここが見えると、関わり方が変わります。
詰めるんじゃなくて、揃える。
感情でぶつかるんじゃなくて、前提を言葉にする。
「なんでやってくれないの」ではなく、
「私はここを大事にしている。あなたはどこを見ている?」
この会話ができるかどうかで、職場の関係はかなり変わります。
同僚との関係って、仲良くすることがゴールじゃないんですよね。
同じ方向を向けることです。
好き嫌いがあってもいい。
テンポが違ってもいい。
ただ、お互いが何を大事にしているかを
知らないまま仕事をすると、摩擦は増える。
逆にそこが見えてくると、
完全にわかり合えなくても、無駄に傷つけ合わなくなる。
イライラする日は、相手を責めたくなります。
すごく自然です。
でも、その時こそ見たほうがいい。
自分は何を踏まれた気がしているのか。
相手は何を守ろうとしているのか。
ここを飛ばすと、仕事の問題が、人間の問題に変わってしまう。
それは、もったいないです。
あなたが今日イライラした相手は、
ほんとうに仕事ができない人でしたか。
それとも、自分と違う景色を見ているだけでしたか。
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。