お金の話を嫌う会社ってありますよね。

売上。利益。粗利。原価。
そういう言葉を出すと、急に空気が固くなる。
なんとなくいやしい感じがする。
露骨すぎる。
もっと大事なものがある。
たしかに、その感覚もわかるんです。
数字だけで人は動けないし、利益だけ見たら壊れるものもある。
そこはほんとうにそう。

ただ、お金の話をちゃんとしない会社って、
だいたい現場が苦しくなるんですよね。

しかも静かに。
じわじわ。
気づいた時には、しわ寄せが全部、人に乗っている。

単価は上げない。
でも、もっと丁寧にやれと言う。
人は増やさない。
でも、もっと早くやれと言う。
利益の話はしない。
でも、コスト意識は持てと言う。
これ、現場からするとかなりきついです。
会社がお金の現実を言葉にしないぶん、
その重さが全部、曖昧な精神論になって降りてくるからです。

頑張ろう。
工夫しよう。
助け合おう。
生産性を上げよう。
一つひとつは間違っていない。
ただ、その裏で「どこまで利益が削れていて、このままだと何が起きるのか」が
共有されていないと、現場はずっと霧の中で走らされる。
それが続くと、人は疲れます。
何のためにそこまで詰めているのかが見えないからです。

お金の話って、冷たい話じゃないんですよね。
むしろ逆です。
ちゃんと話さないほうが冷たい。
なぜかというと、最後に無理を引き受けるのは、
だいたい現場の人だからです。

利益が出ていない。
でも価格は上げない。
人手も足りない。
でも採用も簡単じゃない。
その時、会社がお金の話を避けるとどうなるか。
現場が気合いで埋めるしかなくなるんです。
残業で。
サービスで。
気遣いで。
持ち帰りで。
優しい人ほど、そこを埋めてしまう。
そして会社は、なんとなく回ってしまう。
ここが怖いんですよね。

回っているように見えるから、問題が先送りされる。
でも実際には、お金の足りなさを人の善意で埋めているだけです。
それ、長く持ちません。

営業の現場でもあります。
単価が低い。
でも件数で追うしかない。
そうなると、一件一件をちゃんと見る余裕がなくなる。
提案も薄くなる。
アフターも粗くなる。
でも表では「もっと顧客満足を」と言われる。
いや、その前に価格設計の話でしょう、ってなる。
でもそこには触れない。
数字の話をするといやらしい感じになるから。
この空気、ほんとうに現場を消耗させます。

管理部門でも同じです。
人が足りない。
でも予算の話はちゃんと降りてこない。
ただ「効率化して」で終わる。
効率化って便利な言葉なんですよね。
お金の問題を、お金の問題として言わずに済むから。
でも、それで背負うのは現場です。
一人で何役もやる。
抜けないように神経を使う。
空気まで支える。
そのうえで「もっと工夫できるよね」が来る。
そりゃしんどいです。

経営って、本来そこを言葉にする仕事なんですよね。
どこで利益が削れているのか。
何を守るために、何を変えないといけないのか。
人を守るために、価格を上げるのか。
品質を守るために、案件を絞るのか。
採用をするために、どこに投資するのか。
そこを曖昧にしたまま、「みんなで頑張ろう」は、少し無責任です。

現場は、数字が嫌いなんじゃないんです。
意味のわからない我慢が嫌なんです。

この我慢は何につながっているのか。
この無理はどこを守るためなのか。
そこが見えれば、人はまだ踏ん張れます。
でも、お金の話だけ避けて、覚悟だけ求められると冷えます。
静かに。
ああ、この会社は都合の悪いことをちゃんと言わないんだな、となる。

お金の話をする会社って、下品な会社じゃないです。
むしろ誠実です。
利益が必要だと認める。
その利益が、人件費にも、投資にも、余白にもなると認める。
だから価格も考える。
案件の持ち方も考える。
無理なものは無理だと言う。
この筋がある会社は、現場もまだ納得しやすい。

逆に、お金の話を避ける会社ほど、きれいな言葉が増えます。
やりがい。
想い。
顧客第一。
チームワーク。
もちろん全部大事です。
大事なんですけど、それを利益の現実から切り離して使い始めると、
ただの飾りになる。
現場はそこ、すぐ見抜きます。

会社って、お金がすべてじゃない。
でも、お金を曖昧にしたまま、人だけに無理をさせる会社は、
かなり危ういです。
利益を出すことは、誰かが楽をするためじゃない。
ちゃんと払うためです。
ちゃんと雇うためです。
ちゃんと守るためです。
その現実をきれいごとで包みすぎると、
最後は一番まじめな人から削れていく。

お金の話を避ける会社ほど、現場にしわ寄せがいく。
これ、冷たい見方じゃないんですよね。
むしろ、現場をちゃんと見た時に出てくる話です。

あなたの職場では、足りない利益を、誰の頑張りで埋めていますか。
その頑張り、ちゃんとお金の問題として扱われていますか。

世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。