自信がある人って、最初からできた人に見えるんですよね。

堂々としている。
返事も早い。
判断も迷わない。
人前でもそんなに崩れない。
任せても、そこまで慌てた感じがしない。
外から見ると、もともと強かった人に見える。
センスがある。

地頭がいい。
そういうふうに片づけたくなる。

ただ、現場で見ていると違うんです。
自信がある人って、最初からできた人じゃない。
最初は普通に怖がっていた人が多い。
恥もかいてる。
外してる。
固まってる。
うまく言えなくて帰り道に引きずった日もある。
そこを通ってる。

仕事で自信がない人って、能力が足りないんじゃなくて、
まだ“自分で越えた記憶”が少ないことが多いんですよね。

ここ、かなり大事です。

自信って、頭で作るものじゃない。
「自分はできる」と言い聞かせても、苦しい時はすぐ剥がれます。
それより強いのは、一回やったことがある、です。
怖かった。
でも行った。
固かった。
でも言った。
不安だった。
でも出した。
この積み重ねがある人は、次の場面で少しだけ崩れにくい。
根拠のない前向きさじゃない。
前に一回、越えた記憶があるからです。

営業でわかりやすいです。
最初から商談が強い人なんて、そんなにいない。
声も上ずる。
間も変になる。
相手の反応が少し曇っただけで、頭が真っ白になる。
そこで一回逃げる人もいる。
上司に振る。
メールで済ませる。
次に回す。
気持ちはすごくわかるんです。
ただ、その逃げ方が続くと、自信はいつまでたってもつかない。
うまくいった経験が増えないからじゃない。
自分で持った経験が増えないからです。

逆に、ぎこちなくても自分で一回やる人は変わります。
もちろん最初は下手です。
うまく返せない。
詰まる。
空気も悪くする。

それでも一回、自分で立って持つ。
すると、うまくいったかどうか以上のものが残る。
ああ、自分でもこの場にいられるんだ、が残る。
この感じが、自信の芯になります。

管理職も同じです。
部下に何かを言う時。
厳しいフィードバックを返す時。
期待を伝える時。
ここ、避ける人は多いです。
嫌われたくない。
気まずくしたくない。
傷つけたくない。
その気持ちも本物です。
ただ、そこを毎回ぼかしていると、管理職としての自信は一生つきにくい。
人を持つ怖さを、自分で越えた経験が残らないからです。

仕事で自信がある人って、失敗しない人じゃないんですよね。
失敗しても、自分で引き受けたことがある人です。
ここを間違えると、自信を“うまくいった回数”で測り始めてしまう。
そうすると苦しくなります。
仕事なんて、そんなに毎回うまくいかないから。
うまくいかなかった。
それでも逃げずに持った。
その記憶のほうが、あとで効いてきます。

よく、準備ができたらやろうとする人がいます。
もう少し勉強してから。
もう少し慣れてから。
もう少し自信がついてから。
気持ちはわかります。
ただ、仕事って、その順番ではなかなか進まないんですよね。
自信がついたから前に出るんじゃない。
前に出た記憶が、あとから自信になる。
順番が逆です。

ここ、会社の育て方にも関係します。
上司が全部拾う。
全部直す。
全部守る。
そうすると部下は安心します。
ただ、自信はつきにくい。
きれいに守られた経験は残っても、自分で越えた記憶は残らないからです。
育成って、少し危なっかしい時間が必要なんですよね。
本人が自分で持つ時間です。
見てる側はもどかしい。
口も出したい。

手も出したい。
それでも、全部奪うと、自信の芽まで一緒に取ってしまう。

経営に近い立場でも同じです。
決める回数が増える。
正解が見えないまま決めることも増える。
そのたびに揺れる。
怖い。
合ってるかもわからない。
それでも腹をくくって一回決める。
その経験がある人は、次もまた決められる。
根拠は完璧な答えじゃない。
前にも揺れながら持った自分です。
そこが芯になる。

自信がない人に足りないのは、才能じゃないことが多いです。
うまくやれる保証じゃない。
自分で持った記憶です。

うまく話せた。
通せた。
乗り切れた。
もちろんそういう成功体験も大事です。
ただ、本当に人を強くするのは、もう少し地味な記憶なんですよね。
怖かった。
逃げたかった。
それでもやった。
その記憶です。
そこを持っている人は、見た目ほど派手じゃなくても強い。

仕事で自信がある人は、最初から有能だったわけじゃない。
自分で持つ場面から逃げ切らなかった人です。
小さくても、一回一回、自分の足で立った人です。
その積み重ねがあるから、あとで周りからは“もともとできる人”に見える。
ほんとうは、見えないところで何度も震えていただけなんですよね。

あなたが今うらやましく見ているあの人も、
最初から強かったんでしょうか。
それとも、怖い場面を何度か自分で持ったから、
今の落ち着きになっているだけなんでしょうか。

世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。