社長になる前から、社長のように見ることはできます。
肩書きがなくても。
決裁権がなくても。
自分の部下がまだいなくても。
会社を見る目は、今いる場所で育てられます。
むしろ、社長になってから急に育てようとしても遅いことがあります。
社長になると、見るものが一気に増えます。
売上。
利益。
人。
採用。
お客様。
クレーム。
資金繰り。
現場の空気。
次の一手。
それまで自分の仕事だけを見ていた人が、
急に全部を見るのはかなり難しいです。
だから、未来に経営者を目指す人ほど、
今のうちから見方を変えておいた方がいい。
たとえば、会議に出る時。
普通なら、自分に関係ある話だけを聞きます。
自分の担当は何か。
自分に振られる仕事は何か。
自分の評価に関わる部分はどこか。
それで仕事はできます。
でも、会社を見る目を育てたい人は、もう少し広く聞きます。
この議題は、何を解決しようとしているのか。
誰が困っているのか。
この決定で、どの部署に負荷が出るのか。
社長や上司は、何を心配しているのか。
現場は、どこで動きづらくなりそうか。
同じ会議に出ていても、聞いているものが違うんです。
また、売上の話を聞く時もそうです。
数字が上がったか下がったかだけではなく、
なぜ上がったのか。
どこで止まっているのか。
利益は残っているのか。
現場に無理は出ていないのか。
来月も同じように続けられるのか。
そこまで見る癖がある人は、少しずつ経営に近づいていきます。
社長になる人に必要なのは、特別な才能だけではありません。
物事を、自分の範囲で止めずに見る力です。
営業の問題を、営業だけの問題にしない。
現場の疲れを、現場だけの問題にしない。
利益の薄さを、経理だけの問題にしない。
人が辞めることを、その人だけの問題にしない。
会社の中で起きていることは、だいたいどこかでつながっています。
このつながりを見ようとする人は、立場がまだ下でも目立ちます。
会議での質問が変わる。
報告の仕方が変わる。
不満の出し方が変わる。
提案の質が変わる。
「この作業が大変です」だけで終わらず、
「この確認が毎回止まるので、ここを決めれば全体が早くなると思います」
と言えるようになる。
「人が足りません」だけで終わらず、
「今足りないのは人数より、判断できる人かもしれません」
と言えるようになる。
「売上が落ちました」だけで終わらず、
「問い合わせは減っていないので、商談化の部分を見たいです」
と言えるようになる。
こういう人は、ただ仕事をしているだけではありません。
会社を見ています。
もちろん、最初から全部は見えません。
見ようとしても外すことがあります。
社長や上司の見ている景色とズレることもあります。
「そこじゃない」と言われることもある。
それでいいんです。
見る目は、外しながら育ちます。
大事なのは、自分の仕事だけに閉じないことです。
自分の部署がどう会社に貢献しているのか。
自分の判断が誰の仕事を楽にするのか。
自分の遅れがどこに響くのか。
自分の提案が、お客様や利益や人の負荷にどうつながるのか。
そこを見るだけで、日々の仕事が少し変わります。
将来、独立したい人。
幹部になりたい人。
会社を任される側に行きたい人。
そういう人ほど、今の環境をただの通過点にしない方がいいと思います。
今いる会社には、経営の教材がたくさんあります。
なぜこの会社は伸びているのか。
なぜ同じ問題が繰り返されるのか。
なぜ社長はこの判断をしたのか。
なぜ現場は動けなかったのか。
なぜ利益が残らないのか。
なぜ人が育つ部署と育たない部署があるのか。
全部、自分の目を育てる材料になります。
会社を見る目を持つ人は、文句も変わります。
ただ不満を言うのではなく、構造を見ようとする。
ただ批判するのではなく、次の一手を考える。
ただ社長を遠くから見るのではなく、自分なら何を見るかを考える。
その積み重ねが、次の立場に進んだ時に効いてきます。
社長になる前に、会社を見る目を育てておく。
これは、特別な役職がなくても今日からできます。
目の前の仕事を、少しだけ会社全体の流れの中で見る。
自分の部署を、少しだけ一つの会社のように見る。
上司や社長の判断を、少しだけ「なぜそうしたのか」と考えてみる。
その小さな見方の変化が、未来の自分を作っていきます。
世の中の非常識は、華僑の常識。
華僑Jでした。