商売をしていれば、1円でも多く利益を残したい。そう考える場面はあります。それ自体が悪いわけではありません。会社を続けるには、利益を残すことも欠かせません。

ただ、ここで大切なのは、見る時間軸です。
今回の取引でいくら残るか。それだけを見ていませんか。

自分に有利な条件を全部通す。相手の手間は考えない。
できることがあっても、契約にないからと断る。その場では得をしたように見えます。
でも相手の心には、「次は頼まなくていいかな」という気持ちが残ります。

例えば、相手が急いでいる時に、こちらが少しだけ段取りを工夫する。
次の人が困らないように、ひと言添える。
こういうことは、請求書には載りません。
でも相手は、値段以上に「自分のことを考えてくれた」と感じます。

逆に、契約上は何も間違っていなくても、毎回こちらの都合しか見ていなければ、関係は少しずつ細くなっていきます。

ただし、社員に無理をさせてまでサービスする必要はありません。
会社に利益が残り、相手も喜ぶ接点を探すことが経営者の仕事です。

いくら値引きしたかではなく、何をして喜んでもらえたか。
それが分かれば、値下げ以外にも渡せる価値は見えてきます。

今日の数字だけではなく、来月も来年も続く関係まで見る。
これが経営の視点です。

私は昔、車を売る仕事をしていました。その時に学んだのは、1台を高く売ることより、また相談したいと思ってもらうことのほうが大きな価値になる、ということです。

親身に向き合ったお客さまが、何年もたってから知人を紹介してくださる。
そういう経験がありました。

大事なのは、ただ値引きするのではなく、相手に「この人と取引してよかった」と思ってもらえる価値を、先に渡せるかどうかです。

商売は、一回きりの勝ち負けではありません。
今日の利益と、これから続く信用。
その両方を見るのが経営です。

目先の1円を守るために、10年のご縁を失わないこと。
損して得取れという言葉は、相手を先に大切にする人が、最後に選ばれる、という知恵です。
世の中の非常識は、華僑の常識。華僑Jでした。