「“この社員は絶対に辞めない”──実はそう思った瞬間が、一番危険です。」

経営者は安心したいものです。
「こいつだけは辞めないだろう」と信じたい。
しかし現実は逆で、そういう社員ほど突然辞表を置いて去っていきます。
なぜでしょうか?
それは、経営者が“成長欲求”を過小評価しているからです。

社員は待遇だけで残るのではありません。
給与や制度は安心を与えますが、未来を与えることはできません。

本当に優秀な社員ほど「ここに居続けることで、自分はどれだけ成長できるか」を常に測っています。
その問いに答えられない組織は、いくら好条件でも長くは持ちません。

人が会社を去る理由は単純です。
「これ以上、自分の未来はここにはない」と悟ったときです。
その瞬間から心は静かに外へ向かい、経営者が気づいたときには手遅れになっているでしょう。

だから経営の本質は“引き止め”ではありません。
社員を縛りつけるのでもなく、甘やかすことでもありません。
社員が「ここでなら勝てる」「ここでなら未来を描ける」と信じられる環境を整えることです。

つまり、毎日の仕事の中で「昨日より今日」「今日より明日」と、自分の成長を確かに感じられる仕組みを作ることにあるのです。

これを持たない組織は、やがて優秀な人材から順に失っていくでしょう。
残るのは、挑戦を忘れ、ただ居続ける人間だけです。
逆にこれを持つ組織は、社員が未来に投資するように働き、成長し、成果を積み上げていきます。

経営者が問われるのは「どう辞めさせないか」ではなく、「どう成長させ続けられるか」です。
その設計ができて初めて、人は会社に残り続けます。
そしてそれは数字以上に、組織にとって最大の資産になります。

「社員が会社を去るのは、待遇ではありません。成長が止まった瞬間です。」

世の中の非常識は華僑の常識。華僑Jでした。